視線誘導

画面内の視線の流れを設計するための2つの原則。操作を完了させる領域にはグーテンベルク図を、目的の項目を探す領域にはF型を適用する。

グーテンベルク図

視線は左上(一次視覚エリア)から右下(終端エリア)へ対角線を描いて流れる。ダイアログやフォームなど均質なコンテンツが並ぶ画面で自然に起きる視線移動を設計に活かす。

グーテンベルク図のアラートダイアログ実画面例。タイトル左上から削除ボタン右下へ対角線の視線ストロークが示されている。

グーテンベルク図は印刷デザイン由来の設計原則(経験則)であり、視覚的な手がかりが少ない均質なコンテンツで視線が従うデフォルトの傾向を示す。

4 つのエリア

  • 左上(一次視覚エリア): 視線の起点。最重要情報・タイトル・見出し。
  • 右上(強い休閑エリア): 視線は通過するが滞在しない。閉じる(×)など補助的な操作にとどめる。
  • 左下(弱い休閑エリア): 最も見られない。キャンセルなど低優先の操作を置く。
  • 右下(終端エリア): 最終到達点。最も取らせたい操作(主要 CTA)を置く。

注意点

  • 右上に主要 CTA を置かない。視線は通過するが滞在しないため見落とされる。
  • 主要操作の右にキャンセルを置かない。主要 CTA は終端(右下)に、副操作はその左に並べる。
  • 画面内に色・画像・大きなアイコンなど強い視覚要素が複数あると対角線が崩れる。F 型や明示的なフォーカス設計を使う。

F 型

テキスト主体の画面で、ユーザーの視線は F の字を描いて流れる。上端を横に読み、少し下を短く読み、最後は左端を縦に滑り落ちる。重要な情報を左側と上部に集めるための原則。

F型パターンの実画面例。画面見出しとフォームセクションに視線の横・縦ストロークが重ねて示されている。

3 つのストローク

  • 上端の横ストローク: 最初に最も丁寧に読まれる。見出し・ページ主題・最重要のメタ情報を置く。
  • 中段の横ストローク: 上端より短く、ざっと流し読みされる。サブ見出しや小見出し直下の重要な一文に向く。
  • 左端の縦ストローク: 行頭のキーワードを拾いながら下に降りる。リストの各行は左端に判別キーワードを置く。

いつ使うか

  • テキスト主体・行が多い画面(検索結果、一覧、ドキュメント、長文記事)
  • 視覚的なメリハリ(画像・色・サイズ差)が少なく、情報が均質に並ぶ画面
  • ユーザーが「目的の項目を探す」目線で見る画面(スキャンが前提)

注意点

  • 重要な情報を行の中央・右寄りに置かない。スキャン視線は左を通るので、右側に置いた要素は読まれない確率が高い。
  • 画像・色付きバッジ・大きなボタン等の強い視覚要素が並ぶと F 型は崩れる。カード型 UI には適用しない。
  • 「すべての行を読ませる」ことを期待しない。下に行くほど読まれる量が減るため、最重要のエントリを上に積む配慮が必要。
  • F型はNN/gのアイトラッキング研究で実証された観測パターン。ただし読者の意図・目的が明確なら別の見方になるため、設計の出発点として使い、検証で確かめる。

2パターンの使い分け

2つは排他ではなく、画面内の領域ごとに使い分ける。

  • 操作を完了させる領域(フォーム・ダイアログ・検索パネル)にはグーテンベルク図を当てる。左上を起点に、最も取らせたい操作を右下の終端に置く。
  • 目的の項目を探す領域(一覧・履歴・テーブル)にはF型を当てる。判別キーワードを各行の左端に、重要なエントリを上部に置く。
  • 1画面に両方の領域が含まれる場合、画面の外枠(見出し・主要アクション・検索フォームの配置)にグーテンベルク図を、行の集合にF型を適用する。